白班遺伝子までは、遺伝子記号を使わずになんとか書けましたが・・・もう限界です。遺伝子に興味のある方は先に進み、遺伝子に興味がない方は他の頁でお寛ぎください。

遺伝子は、両親から一つずつ受け継ぎます。
遺伝子には優性と劣性があって、アルファベットの大文字(優性)や、小文字(劣性)で記号化され、2つ(1組)で考えます。
優性遺伝は1つあればその形質を表現できますが、劣性遺伝は1つでは表現できません。
両親が共に劣性遺伝子を持っていて、両親からそれぞれ劣性遺伝子を受け継ぎ、二つ揃って初めて個体に形質を表現できます。
優性遺伝子を持った個体の見た目の形質と、個体の遺伝子の構成が同じとは限りません。
優性遺伝は、遺伝子型ではAAでも、Aaでも見た目は同じです。劣性遺伝子のaはAに隠されてしまいます。

ここから先は、ラグドールに関する遺伝子だけ追いたいと思います。

まずは、ポイントカラーを表現するポインテッド遺伝子から始めますね。
ポインテッド遺伝子は、csという記号で劣性遺伝です。
ポイントカラーになるためには、csが二つ必要ですので、ラグドールは全てcs/csです。
次は、黒は優性BlackのBで、チョコレートは劣性brownのbです。
黒の劣性がチョコレート?ハァ?となりませんでしたか?しかし、これはお決まり事です。
Bは大文字(優性)ですので一つでも効果を発揮します。
bは、小文字(劣性)ですので二つ揃って初めて効果を発揮します。
黒Blackは、ポインテッド遺伝子cs/csの効果でシール(こげ茶)と呼ばれる毛色になります。
そして・・・濃い色DenseのDと、希釈された色dilutionのdです。
Dは大文字(優性)ですので一つでも効果を発揮します。
dは小文字(劣性)ですので二つ揃って初めて効果を発揮します。
毛色の優性(濃い)と劣性(希釈された/薄い)の関係は・・・
シールDとブルーd
チョコレートDとライラックd
シナモンDとフォーンd
レッドDとクリームd・・・です。

 

下の表を使って、どんな毛色の仔猫が生まれるのか予想してみませんか。

A枠とB枠に父猫の遺伝子を一つずつ入れます。
C枠とD枠に母猫の遺伝子を一つずつ入れます。
1子枠には上の父の遺伝子と左の母の遺伝子を入れます。2子枠、3子枠、4子枠も同じです。

シールをレッド、チョコレート、シナモンに置き換え、ブルーをクリーム、ライラック、フォーンに置き換えて予想してみてくださいね。

 

シール(ホモ)D/Dは、シールの遺伝子を二つ持っており、シール(ヘテロ)D/dはシールとブルーの遺伝子を持っていますが、劣性のブルーdが隠されています。

シール同士の組み合わせでは・・・

シール(ホモ)の組み合わせ

両親がシール(ホモ)だと、仔猫は全員シール(ホモ)です。

シール(ヘテロ)、シール(ホモ)の組み合わせ

父猫がシール(ヘテロ)、母猫はシール(ホモ)の組み合わせは、仔猫は全員シールカラーで、ホモが2頭、ヘテロが2頭です。

シール(ヘテロ)同士の組み合わせ

両親がシール(ヘテロ)から生まれてくる仔猫は、シール3頭(ホモ1頭、ヘテロ2頭)とブルー1頭です。

 

シールとブルーの組み合わせでは・・・

シール(ホモ)とブルーの組み合わせ

シール(ホモ)とブルーの組み合わせでは、仔猫は全員シール(ヘテロ)になります。
何回組み合わせてもシールの仔猫しか生まれないようでしたら、シールの親猫がホモの可能性が高いです。

シール(ヘテロ)とブルーの組み合わせ

シール(ヘテロ)とブルーの組み合わせでは、シール(ヘテロ)2頭と、ブルー2頭です。

 

ブルー同士の組み合わせも・・・

ブルー同士の組み合わせ

もうお解かりですね?
ブルーの仔猫しか生まれません。

 

ラグドールの毛色を表すには(記載していない遺伝子もあります)
ポインテッド、黒とチョコレート、濃い色と希釈された色3つの遺伝子記号を組み合わせます。

黒Blackは、ポインテッドになるとシール(こげ茶)になります。
シールになるために必要なのは、黒Bと濃い色Dです。
「B/B,D/D」「B/b,D/D」「B/B,D/d」「B/b,D/d」の4通りです。
BとDを一つずつでも持っていれば、その個体は必ずシールカラーになります。

ブルーになるためには何が必要ですか?
黒Bと希釈するddが必要で、「B/B,d/d」「B/b,d/d」の遺伝子型を持つ個体です。
チョコレートになるためには、
チョコレートbbと濃い色Dが必要で、「b/b,D/D」「b/b,D/d」の遺伝子型を持つ個体です。
ライラックになるためには、
チョコレートbbと希釈するddが必要で、「b/b,d/d」の遺伝子型を持つ個体だけです。

それでは、それぞれの遺伝子型をまとめてみます。

  1. シールポイントは、「cs/cs,B/B,D/D」「cs/cs,B/b,D/D」「cs/cs,B/B,D/d」「cs/cs,B/b,D/d」の4通りです。
  2. ブルーポイントは、「cs/cs,B/B,d/d」と「cs/cs,B/b,d/d」の2通りです。
  3. チョコレートポイントは、「cs/cs,b/b,D/D」と「cs/cs,b/b,D/d」の2通りです。
  4. ライラックポイントは、「cs/cs,b/b,d/d」しかありません。

六花のシールカラーの子は、今のところ全員ヘテロ「cs/cs,B/B,D/d」で、ブルーカラーの子は、「cs/cs,B/B,d/d」です。

貴方の愛猫ちゃんは、どの遺伝子型を持っていますか?

 

チョコレートポイント&ライラックポイントについて・・・

 

サイトを公開した頃、来る日も来る日もライラックバイカラーのお問い合わせが相次ぎ、ライラックバイカラーが生まれないのであれば、ブルーバイカラーでも良い・・・とのようなお問い合わせばかりが続きました。
 そんな時の私の返答は決まって「ライラックは見た事がありません。ライラックと登録された子でも、私にはブルーに見えます。日本のラグドールにライラックはいないと思っています。六花でも生まれません。」でした・・・が。
 数年前から、アメリカやオーストラリアのブリーダーが、他猫種からチョコ&ライラックの遺伝子をラグドールに導入し、プログラムに取り組み、現在は遺伝子的に真のチョコレートやライラックを盛んに繁殖されています。
 04年、チョコ&ライラックプログラムで誕生したチョコレート「cs/cs,b/b,D/d」と、ライラック「cs/cs,b/b,d/d」が日本に迎えられ、実物をこの目で見る機会がありました。「ああ、ようやくライラックとチョコレートに逢えた」・・・これが私の正直な感想です。

ライラックポイントは「cs/cs,b/b,d/d」しかありません。
遺伝子型で、黒ではないチョコレートb/bと、希釈された色d/dを持つラグドールだけが本当のライラックだと私は思っています。現に、計画繁殖されたチョコレートとライラックは、今まで私が見てきたチョコレートやライラックとは全く違いました。

チョコレートとライラックの遺伝子を他猫種から導入してまでも、真のチョコレートとライラックを作出することに力を注いでいるブリーダーたちに感謝の意を込めて、ライラックを作出するということが、ライラックと呼ぶ毛色を維持することが、どれほど大変なことなのか少しだけ触れてみたいと思います。

 

上記した通り、チョコレートポイントは、「b/b,D/D」「b/b,D/d」の2通りです。ライラックポイントは「b/b,d/d」しかありません。
チョコレートやライラックを作出するには、黒(こげ茶)Bの遺伝子を一つも受け継がせてはならず、Bの代わりにチョコレート遺伝子「b/b」の一対を受け継がせなくてはなりません。

 

シールとシール(チョコキャリー)組み合わせ

シールB/Bとシール(チョコキャリー)B/bの組み合わせでは、シール2頭とシール(チョコキャリー)2頭が生まれます。
見た目は全てシールで、隠された遺伝子は形質を表しません。

シール(チョコキャリー)同士の組み合わせ

見た目にはシールでも、チョコレートの遺伝子を隠し持っているチョコキャリーの両親から、チョコレートb/bが生まれてくるのは1頭です。

シール(チョコキャリー)とチョコレートの組み合わせ

チョコキャリーの親猫と、チョコレートの親猫との組み合わせで、チョコレートb/bが生まれてくるのは2頭で、残りの2頭の見た目はシールですが、チョコキャリーB/bです。

 

シールポイントのチョコレートキャリーで希釈する遺伝子を隠し持っている「B/b,D/d」同士の組み合わせでは、(この両親猫は共に、黒、チョコレート、濃い、希釈された薄い、の4つの遺伝子を持っています)以下の9通りの遺伝子型の仔猫が生まれます。
「B/B,D/D」「B/B,D/d」「B/B,d/d」「B/b,D/D」「B/b,D/d」「B/b,d/d」「b/b,D/D」「b/b,D/d」「b/b,d/d」

上記の「B/b,D/d」同士の組み合わせで、チョコレートとライラックが生まれてくる確率は
「B/B,D/D」「B/B,d/d」「b/b,D/D」「b/b,d/d」「B/B,D/d」「B/B,d/D」「b/B,D/D」「B/b,D/D」「B/b,d/d」「b/B,d/d」「b/B,D/d」「b/B,d/D」「B/b,D/d」「B/b,d/D」「b/b,D/d」「b/b,d/D」になり、 チョコレートは3/16、ライラックは1/16の確率です。

 

シールポイントのチョコレートキャリーで希釈する遺伝子を隠し持っている「B/b,D/d」と、ブルーポイントのライラックキャリー「B/b,d/d」との組み合わせでは、以下の6通りの遺伝子型の仔猫が生まれます。
「B/B,D/d」「B/B,d/d」「 B/b,D/d」「B/b,d/d」「b/b,D/d」「b/b,d/d」

この組み合わせで生まれてくるチョコレートとライラックの確率は、
「B/B,d/D」「B/b,d/D」「b/B,d/D」「b/b,d/D」「B/B,d/d」「B/b,d/d」「b/B,d/d」「b/b,d/d」になり、チョコレート1/8、ライラック1/8の確率です。

 

チョコレート(ホモ)とライラックの組み合わせ

チョコレート(ホモ)とライラックの組み合わせでは、チョコレート(ヘテロ)しか生まれません。

チョコレート(ヘテロ)とライラックの組み合わせ

チョコレート(ヘテロ)とライラックの組み合わせでは、チョコレート(ヘテロ)が2頭に、ライラックが2頭です。

ライラック同士の組み合わせ

ライラック同士の組み合わせでは、ライラックしか生まれません。

 

チョコレートやライラックを確実に維持するには、

  1. シール/ブルーと、チョコレート/ライラックとを組み合わせて、キャリーの仔猫を得る。
  2. そのキャリーをライラック/チョコレートと組み合わせ、チョコレート/ライラックの仔猫を得る。
  3. 個体の遺伝子型を調べる。

 1と2を交互に繰り返し、隔世代で確実にチョコレート劣性遺伝子bを1組にして、個体に形質を表現させて遺伝子を受け継がせるか、しかるべき機関で、その個体が「b」を持っているか遺伝子型の解る検査を実施する方法が安全で確実です。

 しかし、この方法には多くの異なった血統の猫が必要で、遺伝子型を調べるにも費用も掛かり、いくつかのキャッテリーが力を合わせて毛色の維持に務めなければチョコレートもライラックも維持はできないと私は思っています。若しくは、子を得たら親を手放し、どんどん新しい血統の導入をし続ける・・・何を選択しても道は険しいです。ライラックとチョコレートに興味はありますが、その遺伝子の維持の難しさを想像できるので、素敵な毛色に心惹かれても、今一歩を踏み出せません。

シナモンとフォーンは、チョコレートとライラックよりさらに劣性です。

 

 ここまで読んでいただければ、私がなぜ仔猫の予約を受けないか少しは解っていただけたと思います。
 仮に、ブルータビー(リンクス)バイカラーの男の子が欲しいとお問い合わせを受けたとします。私がまず考えるのは、ブルータビーバイカラーが生まれる両親の組み合わせです。タビー、ブルー、バイカラー、雄・・・あくまでも確率ではありますが、一つのご希望ごとに確率が、半分になり、1/4になることも少なくはありません。ご希望が4つあるとしたら・・・もう、仔猫の中に、ご希望のカラーパタンと性別を兼ね備えた子がいたら、ラッキーとしか言いようがありません。
 また、ご希望されるカラーパターンの仔猫が生まれる繁殖計画が私にない場合も多々あります。六花で、仔猫のご予約を受けられないこと、ご理解くださいませ。

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